マーケッ
小学校の脇道の小さな文具屋は
立付けの悪い引き戸二人の店員が顔出す
期限切れのラムネと五年前のオブジェ
赤いチョークが欲しかったのに

帰り際に拾った十円の製造年と
あたしの誕生年も一致しない
昨日の濡れ衣のあの冷たさが
痛覚の奥に根を張る

感情自体が薄れて居るし

涙 怒り 笑い飛ばし
何処を如何間違えたのか判らず国道を彷徨う
赤い靴は本当は
一昨日迄は白だったのかしら

地べたに這蹲って固まるあたしの体は
ガラクタみたいな音が好き
退屈も其れなりに楽しい安楽との事
泣く気は無いのに瞳が潤む

如何でも良いなら引き出す筈が無いのに