北海道胆振東部地震で被災して得た経験と知識をまとめました

今回の記事はいつものたけお節を封印して執筆します。

「10代~30代辺りの一人暮らし」の方、「精神疾患や発達障害など目に見えない障害」を持っている方であればより参考になるかもしれません。

内容は大地震の被災時に知っておいたほうがよい知識をまとめたものです。

この記事では自分の経験と、Twitterを中心とするネット上で得た知識をまとめています。

北海道胆振東部地震とは

2018年9月6日早朝、北海道勇払郡厚真町を震源とする地震が北海道へ猛威を振るいました。

震源の厚真町は震度7を観測し、厚真町をはじめとしたいくつかの町で家が倒壊、札幌市でも液状化と呼ばれる現象によって家や道路が損壊するといった被害が出ました。

死者も記事を執筆している時点で30名以上おり、多くの死者は厚真町の山林で発生した崖崩れに飲み込まれたことが原因で亡くなっています。

更に、厚真町にあった火力発電所の緊急停止によって、一時道内全域が停電し交通網が麻痺、店舗や病院なども営業を停止せざるを得ず、北海道全体が多大な影響を受けました。

詳細はウィキペディアを参照してください。

家の被害状況

自分は札幌市東区に住んでおり、東区は震度6強で棚が倒れるぐらいの強い揺れでした。

幸い自宅の損壊は無かったのですが、9月6日~7日18時頃にかけて停電が続き、給湯器が動かなくなったのでお湯が使えずシャワーを浴びることが出来なかったり、冷蔵庫も機能せず、夜は懐中電灯の灯りを頼りに行動していました。

水とガスは問題なく使えました。

更に地震の影響でインターネットとスマホによる電話発信も出来なくなりました。

地震の直後まず何をしたか

黙って家にいる訳にもいかないので避難も視野に入れて行動を始めました。

ガスの元栓を閉め、ブレーカーを落とした

ガスの元栓は地震によってガス漏れが起き火災の原因になるとのことで、地震直後に閉めました。

地震後まだTwitterが繋がっていた数十分の間にツイートが回ってきて、停電時にブレーカーを上げたままにしておくと、大量の電気が一気に家じゅうへ通電することにより火災の危険があると聞き、ブレーカーを落としました。

ネットが繋がっている間にブレーカーに関する情報を知ることが出来てよかったです。

避難に必要なものをかき集めた

リュックは手ぶらで動けるため、リュックへ多めに必要なものを入れ、バッグは重くならないよう控えめに詰め込みました。

入れたものは服と下着1日分、タオル数枚、普段飲んでいる薬と麦茶を入れた水筒、懐中電灯、ラジカセ、スマホと充電器、モバイルバッテリー、電池、避難先で読めそうな本数冊と現金や通帳を入れ、いつでも避難できるよう1箇所にまとめておきました。

女性であれば生理用品やメイク道具も必要になると思います。

本は持っていこうか悩みましたが、ネットと電気が止まっていてスマホアプリや携帯ゲームが出来ないことから楽しみが欲しくてリュックに入れました。

今回札幌市に関しては長期化せずに済んだのですが、万一長期化した場合楽しみの一つでもなければ心が持ちません。

Twitterでも推しのグッズや写真は絶対持って行け!と呟いている人がいましたが、癒しがないと避難所生活は本当にやっていけないと自分も思います。

この方のツイートにも避難時に必要な持ち物が記載されているので参考になります。

持ち出すものは最低限でいいと思います。

洗面道具や食料も持っていこうか悩みましたが、長期化した場合、生活に必要なものは大抵支援物資で送られてきますし炊き出しも行われます。

荷物を沢山持ち出して動きにくくなるよりは、身軽に動ける状態で避難するほうがより安全だと個人的に考え、荷物を極力減らしました。

玄関のドアを開けた

もしも地震で家が傾いた場合、壊れて扉が開かなくなるので玄関のドアと玄関に通じる通路のドアを全て開けました。

玄関のドアを開けっぱなしにするのは落ち着かないと思いますが、壊れて出られなくなるよりはマシなので、大型地震があった直後だけは開けておくことをおすすめします。

倒せる家具を全て倒した

本震が来る可能性があったので、倒れていない棚とTVを倒しておきました。

本来であれば壁に棚を固定する留め具や天井と棚の間に挟む転倒防止用ツッパリ棒で対策をしておくのがベストです。

本を取り出してから床に倒しました

近所の人に情報を聞いて回った

ネットが繋がらなくなり情報が一切得られなかったことから隣近所に情報を聞いて回りました。

普段はコミュニケーションが苦手なので、出来るだけ顔を合わさないようにしていた自分ですが、そんなことを言っていられる状況ではありませんでした。

話を聞いたことから周りも同じように停電していること、万一の断水に備えて風呂に水を溜めた話、避難所の情報を得ることができたので聞いて回ってよかったと思っています。

ただ、風呂水に関しては細菌が繁殖しやすいとのことで、水はこまめに変えた方がいいようです。

他サイトですが以下の記事が参考になります。

コンビニへ足りない物資を買いに行った

歩いていける距離だったため、懐中電灯に使う電池がなかったのでファミリーマートへ向かいました。

到着すると既に客でごった返していて、店員が1人で電卓を打って対応に追われていました。

食料品や水はほぼ売り切れ、電池も残り僅かでぎりぎり購入することが出来ました。

その後ファミマは昼間閉店、1日経って開店した後は長蛇の列が出来ていました。

コンビニ以外の店舗も同じような状況だったので早めに電池を購入出来て良かったと心の底から思いました。

懐中電灯が使えなかったら停電している中で歩き回ることなんて出来なかったです。

大規模な地震が続かなかったこともあってコンビニへ買い出しに行くことが出来たので、地震直後は下手に動かず地震の様子を見ながら行くこと、道中は塀に近づかないといった自衛は必要です。

近隣の開店している店舗と公衆電話の場所をチェックして回った

余震は続いていましたが、大きいものではなかったので、日が昇ってから周囲の状況を徒歩でチェックして回りました。

開いている店舗には張り紙がしてあり、販売状況が記されていたため、スマホで撮影し、自宅でメモ。

同時に公衆電話の設置場所もチェック。

のちに公衆電話が無料開放されたため、電話の場所をチェックしておいてよかったと思いました。

公衆電話は通常時であれば10円か100円を入れて使用します。

10円ではすぐに切れてしまうので、最低でも10枚ぐらいは持っていかないとまともな通話が出来ません。

普段ならスマホのメモアプリにメモするのですが、電池が無くなってしまった場合メモを読むことが出来なくなるので、紙のメモ帳に書き残しました。


その後、ネットも繋がらずTVも観ることが出来ないので本を読んで過ごしました。

好きなアーティストである小松美羽さんの画集やさいとうたかを先生(ゴルゴ13の作者)のサバイバルを読んで暇つぶし。

小松美羽さんの絵は見ていると心が静まるので、不安が紛れました。

サバイバルは崩壊した日本を彷徨い歩く少年の話で、自分は震災に役立つことが書かれていないかと興味を持って読むことが出来ましたが、人によっては震災の状況と重ね合わせてしまって楽しめないかもしれません (;’∀’)

スマホは災害時にはあてにならない

最初は混雑していてネットや電話が繋がらないだけだと思っていましたが、2日間繋がらない状態が続き、家族の安否確認も出来ない、Twitterをはじめとしたネットからの情報を仕入れることができず大変不便でした。

地震の場合は電波基地局が損壊するといったことが大いに考えられるので、被災直後はスマホをあてにせず、電池式の携帯ラジオで情報収集をしたほうがいいと今回の震災で学びました。

公衆電話が無料開放されたことも電波がこない状況下ではとても有難いサービスでした。

スマホ復旧後はモバイルバッテリーが大活躍

ポケモンGO用に買っておいたものですが、しばらく使用していなかったにも関わらず電池残量が残っていたので使用。

ドコモショップや区役所、TV局など様々な場所で無料充電サービスも実施され、利用することにより一度も充電切れになることなく復旧まで使うことが出来ました。

停電時は電子マネーとクレジットカードも使えません

停電時はカードを読み取る機械も停止するので、現金頼りです。

しかし、ATMも停止したため、現金が引き出せず困っている方をTwitterでみかけましたが、ゆうちょ銀行では通帳や印鑑がなくても免許証など本人確認出来るものがあれば現金を引き出せる特例措置を実施していました。

Twitterはやっぱり便利

スマホ復旧後はTwitterを活用しました。

近隣の情報がリアルタイムで読めますし、こちらで分かっている情報を発信して共有が出来るのでTwitterには助けられました。

特に自分が住んでいる場所は電気の復旧が札幌の中でも遅いほうだったので、電気復旧の様子をリアルタイムで見ることが出来たため「もう少しで復旧するかも!」という希望を感じることが出来たのは大きかったです。

情報交換も勿論有益でしたが、何よりも「札幌にいる人の動きを感じられる」ことに安心感を覚えました。

普段使わなさそうだけど震災で必要になったもの

スマホと電気が使えなくなったことで普段使わないようなものも引っ張り出すことになったので、まとめてみました。

懐中電灯

普段はスマホのライトで済ませている人が多いのではないでしょうか。

今回の震災に関しては電気が使えなくなったため、懐中電灯替わりにスマホを使っていると、いざというときに電池切れになり充電も出来ないなんてことになりかねません。

街灯が全て消えていたので、夜間の外出時にも懐中電灯が活躍しました。

ろうそく

懐中電灯も電池に限りがあるので、ろうそくでも問題ない場面ではろうそくを使いました。

ろうそくとは書いていますが細長いろうそくは家に無かったので、アロマキャンドルを食事の時や部屋の灯りとして使用しました。

たまたまアロマキャンドルしかありませんでしたが、ろうが垂れることがないので丁度よかったのかもしれません

しかし、持ち歩くのは危険で、地震が来て落としてしまったら火災に発展してしまう恐れがあります。

持ち歩く必要があるときは懐中電灯を使いましょう。

ろうそくを点けたまま外出するのは絶対ダメ!

電池式ラジオ

ラジオもスマホ1つあれば情報収集には十分なので使うことが少なくなりましたが、スマホもTVも使えなくなったので、唯一の情報源でした。

万が一家が倒壊して下敷きになった時に有効です。

救助隊が音を頼りにガレキの下から救出することが出来たというケースがいくつもあるようです。

叫ぶと体力を消耗してしまうので、笛が有効だといわれています。

↓他サイトの参考記事です

タウンページ(紙)

ネットが使えず、公共機関の電話番号を調べることが出来なかったため、公衆電話と合わせて使用しました。

昔であれば公衆電話ボックス内にタウンページが備え付けられていましたが、利用者が減ったことからかどの電話ボックスにも置いていなかったので、家にあったタウンページを持参して問い合わせました。

官公庁や公共機関、タウンページに登録している店舗の電話番号が記載されています

NTTのタウンページNETから必要であれば取り寄せることが可能です。

Twitterや自分の経験から得た知識や情報

スマホ復旧後は自分の経験とTwitterで得た知識や情報を参考に生活をしていました。

停電時は冷蔵庫を開けなければ6時間は持つ!

これらの呟きは本当に有用でした!

溶けたものはアイスと氷ぐらいで、他の冷凍していた食材は多少柔らかくなっていた程度で電気復旧まで完全に溶けることもなく、食材が腐ることもありませんでした。

溶けたアイスと氷も1日溶けずに残っていたのはすごい。

生ものとご飯、パンは余ったら冷凍

家では余った肉とご飯やパンはラップに包んで冷凍保存しています。

腐らせて捨てるのは勿体ないということで普段からやっていたことでした。

お蔭で食料品を一切買いに行かず停電中を乗り切ることが出来ました。

いつもなら電子レンジで解凍して食べていますが、停電していたのでご飯はガスコンロでおかゆに、パンは魚を焼くグリルで焼いておいしく頂きました。

肉が腐りそうだという理由からBBQをやって消費した家もあるようです。


自粛ムードが広がるより元気な人たちはワイワイやったほうが個人的にいいと思うんだ。

無料サービスや炊き出しをやる人が続々

コインランドリー無料は電気が止まって洗濯出来なかったため本当に助かります。

スマホから電話発信が出来なかったので公衆電話無料サービスも活用させて頂きました。

実施している場所が多すぎて書き切れないぐらい多くの個人や店舗が炊き出しをおこなっていました。

無料サービスは一人暮らしの方にとって大変ありがたいものです。

その他の豆知識

北海道胆振東部地震の被災者となったことで知ったその他の情報です。

ペットは基本避難所へ連れていけないが…

札幌市ではペットの同行避難が可能となっていました。

しかし(屋外)と記載があるため、室内飼いの小動物を連れて行くのは難しいのかもしれません。

Twitter上では「ペットを連れていけないから避難出来ない」と嘆いていた人をちらほら見かけました。

停電が原因で断水となることも


林檎型肺胞の運営者、卍鮭のツイートです。

卍鮭は旭川に住んでいますが、断水の情報はありませんでした。

しかし、卍鮭はアパートの3階に住んでいるため水道の水をくみ上げるポンプが停電により動かなくなって断水したと考えられます。

ヘルプマークは災害時に一番有用なのではないか

ネット上でこれまで口にすることはありませんでしたが、実は広汎性発達障害ASD傾向のグレーゾーン(わかりやすく言えばアスペルガー、アスペ)です。

代表的な特性を挙げると、人間関係の構築が極端に苦手だったり(他人との距離感が掴めないなど)思ったことをそのまま言ってしまう、お世辞や冗談を理解できずそのまま受け止めてしまう、内容を予測することが出来ないことから雑談が苦手(パターンが決まっていない物事に対応できない)…といったコミュニケーション能力の低さ、1つのことを考え出すとずっと頭から離れずループし続ける、変化に対応出来ないといった特性があります(個人によって持つ特性は違います)。

加えて二次障害として双極性障害(躁うつ)があるため、薬は欠かせません。

思考のループがあることから対人に関するトラウマも数多く抱えています。

今回避難所生活にはならずに済みましたが、避難所生活になっていた場合、会話がどこにいても聞こえてくることは避けられないので、音に敏感な傾向があるため脳が疲弊してしまうこと、(発達障害の傾向)加えて会話を脳内で自分への攻撃だと変換する傾向もあります。(トラウマによるもの)

避難所で生活することになった場合、確実に体調を崩しパニックを起こしていたと思いますし、薬を服用していても避難所生活は相当なストレスが溜まり耐えられなかったのではないかと思っています。

ストレスが溜まることは発達障害でない方でも共通ですが、発達障害であれば上記の特性により何倍ものストレスが蓄積されます。

ヘルプマークを所持していれば理解のある方(災害時に派遣される心理カウンセラーや医者など)に状況を伝えやすいのだろうと考えました。

中にはパニックを起こしてしまうと言葉を発せなくなる方もいます。

ヘルプマークと合わせてヘルプカードと呼ばれるものもあり、カードには自身の症状を書き込めるようになっていて、ヘルプマークと合わせて所持しておくとより周囲への伝達がスムーズになり、被災したときは便利だと思いました。

発達障害に関しては理解を示して受け止めようとしてくれる方もいますが、発達障害だと分かった途端手のひらを返されたり、分かろうと努力してくれる方がいても「思考が理解出来ない」といわれ離れていく人が少なくないという現状です。

致し方ない部分もあるのは理解していますが、容赦なく心無い言葉をかけられることが多い状況で公表するメリットが全くないので、今後も必要がない限り自分は発達障害をネット上で公言することはないと思います。

しかし、今回の震災を受け、普段は提示することはなくても、非常時に備えヘルプマークを所持しておくことだけは必要だと考え、所持に否定的な考えの方もいざという時に備えて入手だけでもしておいたほうがよいことを伝えたかったので、自身の症状も敢えて記載しました。

自分も状況が落ち着き次第、区役所からヘルプマークとヘルプカードは貰っておこうと思っています。

発達障害をメインとして話しましたが、精神疾患や人工関節を入れている方など目に見えない障害全般においてヘルプマークは有用です。

薬を普段から服用している方は避難時にお薬手帳を忘れずに持参しましょう。

以下ヘルプマークのウィキペディアです。

前向いて頑張ってこ!

北海道では地震が滅多に起きないので、一生震災に遭遇することはないだろうと安心していましたが、北海道胆振東部地震が起きてしまいました。

人的被害は震源の厚真町に集中していますが、札幌でも道路の亀裂や液状化が発生しており規模の大きさが伺えます。

北海道胆振東部地震においては多くの前例があったことからか、各機関の動きが早かったように感じています。

電力復旧まで1週間はかかると報道されていたにも関わらず、2~3日でほぼ全面復旧したことには驚きました。

加えて、様々な業種から支援の手が差し伸べられたことも3日で札幌市がほぼ普段通りの生活を取り戻せた要因だと考えています。

一方で、北海道胆振東部地震が起こる少し前、台風21号が近畿地方を中心として猛威を振るい、家屋崩壊、断水、停電といった状況も続いています。


起こったことはもう取り返しが付かないですし、日本にいる限りこれからも自然災害に悩まされ続けることになるでしょう。

大事なことは自然災害とどう向き合っていくかが重要なのではないかと今回被災して実感しました。

この記事が読んだ方のお役に少しでも立てれば幸いです。


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