おじいさんの胃袋

おじいさんはもう何も怖くはありません
何故かというとおじいさんは怖がりを克服する為に世界中の恐怖を飲み干したからです
しかしそれだけではまだ少し心配だったので恐怖が詰まった自分の胃袋も丸飲みしました
おじいさんは世界中の恐怖と混ざり合いながらくらくらと溶けてなくなりました
これでようやくおじいさんの恐怖は完全に消え失せたのです

通りかかった人がおじいさんの胃袋を拾って交番に届けました
中身の3割をもらえたらいいなぁと思いながら持ち主が現れるのを心待ちにしていました
一向に持ち主が現れないのでおじいさんの胃袋は通りかかった人のものになりました
その晩、通りかかった人は研ぎたての包丁を懐に隠して山奥へ吸い込まれるように姿を消しました
目撃した人の話によると通りかかった人はふらつきながら「俺の胃袋はグランドファザー…お前の胃袋もグランドファザー…」とつぶやき、小さな弁当箱を渡してきたということです
目撃した人が弁当箱を開けると中にはおじいさんの胃袋がところせましと詰まっていました
それ以来、目撃した人を目撃した人は一人もいません

星々よ…細々と生きるたけおの耳にボソボソとそぼろを詰めてやれ

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