なぐり首
医者を待つ君の横で僕は
鈍器を手にしている
関節はずれの音が鳴ってる
「東京で折る首はこれが最初だ」と
うれしそうに僕がつぶやく
なぐり首も折れた気がした
ねじりすぎた関節と頭
今春が来て君は遺体になった
去年よりずっと遺体になった
逃げようとする医者の足に顔をつけて
君は何か吐こうとしている
君におびえる医者が「さようなら」と
去ったことがおかしくて下を向いてた
とどめ刺して止まらぬ血潮
仏になると気づかない馬鹿
今春が来て君は涅槃になった
去年よりずっと涅槃になった
君の腐った頭蓋にごっそり
湧いては散らばる蛆を見ていた
今春が来て君は骨になった
去年よりずっと骨になった
去年よりずっと蛆になった
去年よりずっと土になった